舞茸振る舞い

舞茸といい、ちりめんキャベツといい、まだ出会ってなかったものに、こんなおいしいものがあるのなら、せいぜい長生きしなくちゃ、と欲が出ます。「初物は75日命が延びる」と言われたのは、こういうことなのかとなっとくした食いしん坊です。

おいしいものは誰かといっしょに、というわけで、湿らせた新聞紙に包んで冷蔵庫で厳重保管していた舞茸は、お食事会でお友だちにも楽しんでもらうことにしました。

豚の肩ロース(脂の部分をとって、赤身主体にしています)を角切りにしてボウルに入れ、sesenta秘蔵のカルバドスを「120ccもらいますよ〜」とドバドバ‥。

「ひとの大切なカルバドスをそんなに使って‥また上野万梨子先生のマネをしているな」とsesentaご明察。再々つくっているノルマンディ風煮込みに、今日はたっぷり舞茸を入れようというわけです。

ボウルの肉に、小さく切ったセロリ、ニンジン、タマネギなどを加えてよく混ぜ、そのままひと晩つけ込んでおきます。

つけ汁からとり出した豚肉にかるく小麦粉をまぶし、バターを引いたフライパンで焼き色をつけて鍋に入れ、そのあとのフライパンで玉ネギと舞茸、マッシュルームを炒めてやはり鍋に。ここにレシピではシードルを入れるところ、かわりに白ワインとリンゴのすりおろしを加えて煮つめました。

最初の豚を漬け込んだ汁も加えてしばらく煮こみ、仕上げに生クリームを少々加えます。つけあわせのフェットチーネを茹でて盛り合わせ、これが豚肉とキノコのソースにからんで、とてもおいしくなりました。

「天ぷらもおいしい」と、この舞茸を下さった方が言っていらしたので、残ったひと固まりはフリットにします。玉子入りの衣でふわふわに揚げたのを、ハーブソルトで。

そう幾度もないチャンス、ゼイタクに使わせていただきましょ、とたっぷり使った舞茸のおかげで、なによりのお振舞いになりました。

お出しするだんどりをまちがえて、揚げものをちょっと冷ましてしまいましたけど、じつは揚げ担当のsesentaは「味見」と称して、揚げながらアツアツのつまみ食いで「うまいうまい」といちばんいいメをしていました。

[追記]
リリー様がお尋ね下さっていた
上野万梨子さんのご本のご紹介が遅れていました。
thym様には、さっそくにご紹介いただいて、ありがとうございました。
「はじめまして。フランス料理」(1996.2月 学習研究社刊)
表紙を載せておきますが、その後デザインが変わっているようです。
なにかと頼りにさせていただく一冊で、thym様と同じ、私も
ずいぶん傷めて、綴じがゆるくなってしまいました。