ばーさんがじーさんに作る食卓

遅れたホワイトデー

明け方は真冬なみ、日中は3月下旬という気まぐれな陽気、お変わりなくお過ごしでしょうか。

「ブログの更新も無理のないように‥」といつもお気遣いをいただいて、ほんとうにありがとうございます。おっしゃって下さることをちゃんと聞いて、おとなしくしていればいいのですけど、どうしても気になることがひとつ、先だってのホワイトデーでした。

sesentaが現役を退いてからもうひと昔以上、それ以降に入社されたお若い方も多くなったというのに、未だにバレンタインデーのプレゼントを、しかも私にまでいただいてる幸せなじーさんばーさんなのです。

会社の皆さんからも「ホワイトデーのご心配なく」と言っていただいてるのですけど、これは私の元気メーターのようなもので、やる気の出るのが体調のめやす。

でも「無理なく」を第一に、あまり体力を使わないスコーンを焼くことにして、数日前からヨーグルトやチーズをそろえて、通院のない日の朝からスタート。

ちょっと上等のケーキ用の粉200gに重曹とBPを加え、砂糖大サジ2、水を切ったヨーグルト75g、バター40g、蒸したカボチャのペースト50g、レッドチェダーチーズ30gを順々に入れここはスピードカッターで省力化。

手でこねまわすと風合いがわるくなるので、スピードカッターのカップから調理台の上に出したのをそのままスケッパーでまとめてセルクルで抜き、天板に並べます。

オーブンで18分、まずまずの色ぐあいで焼き上がり。途中、ちゃんと味みもしながら、10回ほどで予定数ができました。仕上がりをグラシン紙の袋に入れて箱に詰め、先に作っておいたゆずのママレード(チーズスコーンにはこれが必須)をひとビン同梱。型抜きしたときの切れはしも(これが往々にして本体より評判がよいのです)いっぱい詰めました。

そんなことで、夕方を待たずわりと早くいつものクロネコさんに荷物を渡すことができて、うちに残ったちょっとデキのわるい分で味見のひと息入れました。

そしてつぎの日は、なにより楽しみな、スコーンを召し上がって下さっている皆さんのスナップがメールで届いて、たのしいイベントのしめくくり。気持ほどには、10年前のように体が動かないものの、いつまでもこんな愉しみを味あわせてもらえて、心からほっこりしあわせを感じた3日遅れのホワイトデーです。

わが谷は緑なりき

ここ数日の、TVでも新聞でも、もう６年になるあの出来事が特集されて、まだまだご不自由をしのんでいらっしゃる方がたくさん‥。あの緑ゆたかなふるさとに戻れないままの、寂しさ辛さを伺って、なにもお役にたてないのが歯がゆいばかりですけど、なんとか１日も早くもとのお暮らしに戻れますようお祈りしております。

そんな中でも、ほんの少しずつ春の気配が‥。今日は裏の木立からウグイスの声が聞こえました。今年はじめて。初鳴きは、なんだかまだ「ホーホケキョ」になりきれないで、覚束ないながらでもうれしい訪れです。

ふと庭に出れば、あちらこちらに自然と増えてきたスイセンがまっ盛り。すぐわきの畑の畝には、ことしは白菜が上々の出来。大きいのをひと玉とってきて、温まるトリ団子のスープにします。

とり胸肉のミンチに塩・コショウ、玉子、片栗粉を加えてよく混ぜ、一口大の団子にして熱湯で茹でます。ざく切りの白菜、戻したシイタケ、お湯でもどした春雨も用意。

とりガラスープを煮立てて、とり団子と白菜、シイタケ、春雨、ショウガを入れて煮込み、塩で調味します。(周富徳さんの「広東料理は野菜がうまい」をお手本に)

箸休めのようなふた皿は、このところハマっているナムルで、ゴボウと生シイタケのナムルと、小松菜のナムルです。どちらもほんの少々の砂糖としょうゆの味で、ゴマ油風味。やさしい味で舌が疲れません。

こんなお昼を作っているところへ分厚い封筒が届いて、見るとお友だちからのグリーティングカード。うちの二人の結婚記念日を憶えていて下さったのでした。

いつも、とてもセンスのいいユーモアメールを下さるのですけど、今回はいろんなネコちゃんの印刷物の切り抜きにセリフを添えて何十枚もの大長編。ちょっと差し障りで全部はお見せできないのが残念ですけど。

私どもの「その日」がちょうど、東北の震災に重なってしまったのでお祝いムードにはなれないのですけど、忘れずにいて下さるお友だちの気持がとてもありがたくて、ちょっとご披露させていただきました。

いつの間にやら‥の55年目。これは「エメラルド婚式」だそうですけど、もとよりジュエリーには縁ない二人。せめてちょっとはそれらしいグリーンぽい食卓になったところで、おひらきに。

からだが目覚める「朝のいろ」

季節はあいかわらずの一進一退、おとなりの滋賀県、琵琶湖の北のほうでは40cmもの積雪ですとか。こちらでも、朝にはうす氷の張る寒さでした。

10年ほど前までは、毎朝6時半には食事をすませてあわただしく出かける勤め人を、1月ならまだ暗いうちに送り出していたものですけど、この寒さで一度出した首をまた布団の中に引っ込めてしまいます。

その昔には、朝からけっこうボリュームのメニューを、sesentaのほうも黙々とたいらげて(きっと、まだ半分眠ってたのでしょうけど)出立して行ったものが、駅までのウォーキングもなくなった今は、こんな軽いめのモーニングサービス並み。

それでも朝１にお腹に入れるもので気分をシャンとしたいので、色の組み合わせのきれいなテーブルになるものを並べます。

先日また、農園の常連さんにビーツをいただいて、いつものようにスライスしてバターで煮、ミキサーにかけて漉したスープが、とてもきれいなピンクにでき上がりました。

マイ畑の小松菜をほんの少々の塩・しょうゆ、ゴマ油で火を通しゴマをかけただけのナムルが、鮮やかなグリーンで食欲を目覚めさせてくれます。

天草から届いた、色とりどりの柑橘のミックスジャムの黄色も、カラーコーディネートのためのだいじな一役。

食卓に湯気がうれしい今の時季、いちばんうれしいのが「蒸し野菜」。カボチャ、ニンジン、カリフラワー、ジャガイモ、サツマイモ、パプリカなどを蒸して、ゴマドレッシングなどをかけるのが、色もきれいで栄養バランスもいい朝ごはん。sesentaが買ってくれていた大きめのチョリソで、にぎやかになりました。

いつもお話しています、小鳥社さんが作って下さっているこのブログの「公式アカウント」に、ほぼ日替わりで、初期のブログの記事から同じ日付けのものを再録してくださっていて、それを見ては「うわー、もうとてもこんな手の込んだことできないなー」と思うのですけど、まあ「これが年相応‥」と割り切ればまた楽し、です。

イサキの甘酢あんかけと白菜クリーム煮

きのうは晴れてはいても風の冷たい、「春未だし」のなか、先日の残りのような診察で、通院の日。

いつもとは時間も診療科も違うため予約なしの初診外来だったので、11時ころから午後4時くらいまでの待ち時間、さすがにちょっとくたびれました。

でも、病院の先生も看護師さんも、その時間ずっとお仕事を続けて下さっているのですから、ほんとうにたいへんだろうなあとありがたくて、頭が下がります。

3月3日ということで、なにかお雛まつりらしい食卓を作らなくちゃ、と考えていたのですけど、そんなわけで初志貫徹がかないませんでしたので、2,3日前の、ちょっと春らしい色のものを代わりに。

きれいなイサキが手に入ったので、まる揚げにしてみました。ずいぶん久しぶりなのですけど、どかんとひと皿に作りたかったので。

ウロコとわた、背びれ・腹びれとえらを取り、両側の身に深めに包丁を入れます。卵白をコシがなくなるまでまぜ、塩少々と片栗粉を加えます。

魚の外がわと切り目の中まで塩・酒・コショウで下味をつけ、上で混ぜた衣を塗りつけ、さらに片栗粉をまぶして、170℃に熱した油で揚げます。切れ目の中までよく油をかけて形がかたまったら、温度を130℃に下げてゆっくり揚げます。

鍋に砂糖、酢、酒、紹興酒、ショウガ、トマトケチャップを入れて煮立ててとろみをつけた甘酢あんを、揚げた魚をお皿にのせた上にかけて、細切りネギと香菜をのせました。

たっぷりのお野菜が欲しい気分だったのでもうひと皿、白菜の黄芯の部分だけをタテに長く切り、鍋にお湯と塩・油少々を入れて茹でます。

鍋に油を熱してとりガラスープを入れ、塩・コショウで調味、水とき片栗粉でとろみをつけ、バター少々と牛乳を加えて、茹でた白菜を入れてちょっと煮てから器に盛り、みじん切りのハムを散らしました。(もとレシピは生クリームを使うところ、カロリーを考えて牛乳にしていますけど、さっぱりとおいしくできました)

お魚のほうは陳建一さんの「四川料理」、白菜のほうは、周富徳さんの「広東料理は野菜がうまい」から。どちらも、温かいものが欲しくなる今の時季、ずっと机の上に広がっていることの多い大切な2册です。

春がそこまで

思わぬ入院やなにかで、皆さまにもご心配をかけていたあいだに、あっという間に2月は「逃げ」て、もう月ずえ‥いつものことながらここでの3日の差にはあわてます。

sesentaも同じくで、「またギリギリになった」とボヤキながらの3〜4月のカレンダーがなんとかできたようですので、こちらからどうぞお持ち帰りくださいますよう、ご案内申し上げます。

イロっぽいチビ姐さんに三味線を弾かせるはずだったのが「ネコに三味線はまずいなあ」ということでエレキになったというお花見の宴。もう目のまえが3月、お花見の季節も、すぐそこです。

なにか、ワン・ニャンのお花見に似合うお魚でご馳走をつくろうとしたのですけど、じつはまだ今年になってからのお魚の購入先を決めかねていて、あちらのスーパー、こちらのお店といろいろお試し中なのでした。

そんな中、まえのお魚やさんが先日訪ねてきて下さって、お手みやげに、わざわざ中央市場に寄ってこられたという、きれいなハタハタを持ってきて下さいました。

生食が苦手で、エスニックだのイタリアンだのといつも言っていたのをよくご存じの上で、さすが目利きのプロが選んで下さったお魚はピッカピカ。

頭とわたをとって洗い、水気を拭いて強力粉をはたき、グレープシードオイルでsesentaがいつも通りしっかり揚げてくれます。

その前に、私のほうはニンジン、ピーマン、セロリ、タマネギをせん切りにして、ワインビネガー、バルサミコ、ピクルスの漬け酢、砂糖、しょうゆを混ぜたマリネ液に浸けて用意しておきます。

耐熱ガラスのふたもの容器に野菜とマリネ液でいっぱいにしておき、油から上げたばかりのハタハタを「ジュン!」と音をさせて次々投入。マリネの甘酸っぱい香りが立ちのぼります。

このレシピは、うちでは沖ギス(似ギス)を使った定番メニューで、その沖ギスもこのお魚やさんでなくてはなかか手に入らないですし、それに負けないくらいおいしいハタハタにしても、「鮮度がわるいとシャンと揚がらん」と、揚げ係の目もきびしいのです。

そんな、ちょっとゼイタクな悩みもあったりする、いろいろおいしいものも食べたい春です。